テニス肘〜腕や手首を酷使するスポーツに起こる〜
アスリハ通信第25回は理学療法士の長續です。今回は、「テニス肘」についてご紹介します。腕を酷使するスポーツをされている方や腕を酷使する仕事や作業が多い方も発症する可能性が高い病気です。
テニス肘とは
テニス愛好家に多い症状のため「テニス肘」と呼ばれていますが、手首に負担がかかる動作を行ったときに肘の外側から手首にかけて痛みが起きたり、手首を伸ばす筋肉(
なぜ起こる?
名前の通り、テニスをしている方に多く見られる症状から「テニス肘」といわれていますが、この症状は手首に負担がかかる動作を繰り返し行っていることが挙げられます。テニスでは、ラケットでボールを打つときの衝撃が手首から肘の外側に繰り返し加わり続けることで、肘の骨と手首を伸ばす筋肉の付着部に炎症が起きて痛みが出ます。何度も何度も「ラケットを振る」動作によって炎症や小さな断裂が起きたためです。テニス肘という名前ですが、肘から手首の背側部分を使用する頻度が高い場合は発症の可能性も高くなります。習慣的に重い物を運搬している方や、パソコンで長時間作業をしている方もテニス肘になりやすい傾向があります。
予兆と診断について
次のテストで肘に痛みが生じた方は、テニス肘の可能性が高いです。
1、Thomsenテスト(トムセンテスト)
肘を伸ばしたまま、手首の力だけで抵抗します。
この状態で肘に痛みが出る場合は「テニス肘」の可能性が高くなります。
2、Chairテスト(チェアテスト)
肘を伸ばしたまま、椅子を持ち上げようとします。その際に肘の外側に痛みが出る場合は「テニス肘」の可能性が高くなります。
3、中指伸展テスト
肘を伸ばし、手の甲を上に反らして指を広げた状態でキープします。
中指を下方向へ押されたときに、中指を上に持ち上げて反発します。その際に肘の外側に痛みが出る場合は「テニス肘」の可能性が高くなります。
テニス肘を予防しよう
テニス肘も、シンスプリントと同様に過労性障害(オーバーユース)、使い過ぎることで発生します。
スポーツや日常動作での腕・手首を使いすぎないように作業を制限し、患部を安静にする時間も必要です。さらに、炎症を感じている場合はRICE処置を行い炎症を抑制しましょう。
それでもなかなか症状が改善しない場合は、リハビリテーションや薬による治療が効果的といわれています。
簡単ストレッチを覚えよう!
どこでも簡単にできるテニス肘の予防ストレッチ覚えて、過労性障害(オーバーユース)を予防しましょう。
前腕伸筋群のストレッチ(右手の場合)
- 親指を下にして右肘をしっかりと伸ばします
- 反対の手で右手首の関節を持ち右手の甲を手間に曲げます
- 手首を曲げたときに同時に指も曲げる
- 30秒程度ゆっくりとストレッチをします
肘が痛いときには
テニス肘のように利き手で行うスポーツをしている方にとっては、一度発症するとなかなか完治しにくい部分があります。特にスポーツをしていれば、身体のどこかを痛めていることが多い傾向があります。スポーツをしていない方は、スポーツをしていなくても発症するので、肘が痛いけど関係ないと思わずに、当院整形外科外来に相談しに来てください。
外来で行える新しい治療法も
当院では、今年度からスポーツ選手向けの外来治療を開始しています。現在はPRP-FD治療と体外衝撃波疼痛治療の2つがあります。痛みが取れない、長引く痛みを緩和させたいと考えている場合は整形外科外来にご相談ください。