夏休み企画⭐️院長コラム「関節リウマチ(治療方法について)」
院長による3日連続コラム「関節リウマチの解説」の治療方法についてです。
症状や原因についてはこちらからご覧いただけます。
治療方法について
薬を使った治療
関節リウマチの治療の大黒柱は内科的な薬を使った治療(投薬治療)です。関節リウマチと診断されたら、できるだけ早い時期から治療を開始することで関節や骨の変形を予防することが可能になっています。
代表的な薬としては、以下の通りです。
- 消炎鎮痛剤
- ステロイド
- 抗リウマチ薬
- 生物学的治療薬
まだ関節リウマチと確定診断されていない時期の関節の疼痛や腫脹に対して行う一般的な治療として行います
以前は関節リウマチの治療の主力として使用されていましたが、現在では関節の炎症や疼痛の強い際に他の治療薬と併用して使用します
さまざまな抗リウマチ薬が使用されますが、現在の抗リウマチ薬の第一選択は「メソトレキセート(MTX)」です。この薬の効果や副作用の有無で、ほかの治療薬の選択や併用が検討されます。
2003年に生物学製剤が関節リウマチの治療適応になって以来、さまざまな生物製剤が開発され、現在の関節リウマチ治療の主力となっています。非常に効果的な治療である一方で、高額であることや免疫力低下などの副作用もあることから関節リウマチ専門医師による治療が望まれます。
手術療法
関節リウマチに対する関節手術については大きく分けて2つあります。
ひとつは、「ズキズキとうずくような痛み」があり、関節の一部が腫れあがっている症状が続く場合は、関節の変形を予防するため「滑膜切除術」という手術を行います。
滑膜切除術は、関節鏡というカメラを関節の中に挿入し、関節内を覗きながら炎症の原因となる、増殖した滑膜を切除します。指のような小さな関節では関節鏡を用いずに関節を切開して行います。
もうひとつは、すでに変形してしまった関節に行う「人工関節置換術」という手術です。
ひざや股関節などを人工の関節に入れ替え、再び関節の働きを戻すようにする手術です。
金属やセラミックの素材で関節を再建して、ズキズキとうずくような痛みを取る手術です。
近年では、人工関節の材料なども改良され、耐用年数も大きく伸びて術後もほぼ日常生活の制限なく過ごすことが可能になっているため、高齢の患者さんでも、積極的にこの手術が行われるようになりました。
滑膜切除術や人工関節置換術以外にも変形した関節に対する矯正骨きり手術や関節固定術脊椎の変形や疼痛に対する手術など罹患した部位や障害によってさまざまな手術の種類があります。
リハビリテーション療法
炎症が持続した関節は拘縮(動く範囲が狭くなる)したり、関節の動揺性(ぐらつき)、筋力低下などが生じるようになります。それに伴って歩行障害や細かい動作の困難(巧緻運動障害)が起こります。リハビリテーションでは、運動療法・理学療法・作業療法などを通して、さまざまな機能回復をサポートします。運動することで関節の固まりを予防する効果もあり、可動域訓練や筋力訓練、温熱療法や装具療法などさまざまな観点からアプローチしていきます。