整形外科 Orthopaedics

変形性肩関節症

正常な状態(左)と変形性肩関節症(右)

こんな症状から始まります

仕事やスポーツなど肩を使い過ぎてしまい、肩関節の軟骨がすり減って炎症が起きている状態をいいます。肩を動かすと痛みを感じるようになり、肩を動かせる範囲が健康な肩よりも狭くなり、肩の腫れを感じることもあります。また、強い痛みを感じる場合や、動かすとゴリゴリと音が鳴る人もいます。さらにひどい場合は、安静時や夜間時にも痛みを感じるようになり、日常生活動作に支障をきたすようになります。

原因

肩関節の表面はクッションの働きをする軟骨で覆われていますが、激しいスポーツをしている場合や骨折や脱臼などの外傷のほかに加齢が原因で正常な肩関節を維持できなくなり起こります。また、血流の悪化や、ステロイド薬の多量投与で上腕骨頭の骨組織が死んでしまう上腕骨頭壊死も原因になります。そのほか、ホルモンの異常などでも変形性肩関節症になることがあります。

なりやすい人

肩に負担のかかるスポーツや仕事をしている人や過去に腱板損傷や脱臼などの外傷を起こしたことがある場合、加齢に伴い軟骨がすり減っている場合などがあります。肩の変形性関節症は頻度が少ないですが、これは膝、股関節のように体重がかかることが少なく、軟骨のすり減りが少ないためです。ただし、傷んだ軟骨は再生しないため、軟骨がすり減ってしまうと腕や肩を使う動作が困難になり、少しずつ変形性肩関節症が進行していきます。

診断

変形性肩関節症かどうかは、レントゲン検査で調べます。正常な肩関節であれば軟骨がレントゲン検査で写ることなく、上腕骨と肩甲骨の隙間が保たれます。変形性肩関節症の場合は、軟骨が減っているため隙間がほとんどなく、上腕骨の骨頭が丸くなく変形している場合があります。

治療

基本的には手術しない保存療法を行います。痛み止めやステロイドの注射などを使い、痛みや炎症をコントロールしながら、リハビリで症状の改善をはかります。ですが、保存的療法を行っていても、痛みや運動障害のために日常生活動作にかなりの支障がある場合などは、人工関節置換術などが検討されます。

手術療法

従来の人工肩関節ではできなかった腱板が完全に切れてしまっている場合でも行える「リバース型人工肩関節置換術」という手術を行っています。リバースの意味通り、通常の人工関節置換術と肩関節の頭と受け皿の構造が真逆の形態です。真逆の構造にすることで、リバース型人工肩関節では、腱板の力がなくとも三角筋の力で挙上が可能となり、関節の安定化と挙上動作の改善が期待できます。術後は、装具固定が約2〜3週間必要ですが、その後、約3~6ヵ月間のリハビリを行うことで日常生活での支障は概ねなくなります。

リバース型人工関節置換術

肩関節周囲炎・五十肩

こんな症状から始まります

一般的には、50歳前後から痛みを感じるようになる肩関節痛です。動かす時に痛みがありますが、あまり動かさないでいると肩の動きが悪くなります。肩関節が痛み、関節の動きが悪くなったり、動かせる範囲が制限されたりします。

原因

肩の関節には「関節包」と呼ばれる袋があり、この関節包に炎症が起きてしまうことで痛みが出ます。さらに炎症の影響で関節包が固くなってしまい、肩を動かせる範囲が極端に狭くなってしまい、動きにくくなってしまうためと考えられています。

なりやすい人

肩関節周囲炎・五十肩は、中年以降に発症することが特徴です。
40代で発症した場合は四十肩、50代で発症した場合は五十肩と呼び名が変わりますが同じ病気です。男性よりも女性に多いとされていますが、糖尿病の疾患がある場合は五十肩になりやすく、治りにくいことがわかっています。糖尿病により血糖が高い状態が続くと、関節包などを構成しているコラーゲンが硬くなりやすいためと考えられています。糖尿病のある人は五十肩の発症や悪化を防ぐためにも、食事や運動、薬などで血糖を適切にコントロールすることが重要です。

診断

肩関節周囲炎・五十肩を診断する際に、以下のような判断基準があり、すべて当てはまれば五十肩(肩関節周囲炎)である可能性が高いと言えます。

  • バンザイをしようと腕を挙げたときに、顔の高さくらいまでしか上がらない
  • ズボンの後ろポケットに手を入れるのが痛くてつらい、あるいはできない。
  • 夜寝ていて肩に痛みがある

また、病院ではレントゲン検査を行い、石灰沈着性腱炎などほかの病気の可能性も検討します。腱板断裂などの病気の可能性がある場合は、MRIにて確認することができます。また、当院の特色として、肩関節専門医による関節造影という治療を兼ねた検査があります。局所麻酔と造影剤を用い、レントゲンを見ながら、肩関節の癒着を剥離すると共に、腱板断裂の有無を調べる検査です。

治療

四十肩、五十肩は、肩関節の緊張をほぐし、痛みの緩和と関節の可動域を広げるため「運動療法」によるリハビリテーションを中心に行います。四十肩や五十肩は、右左のどちらか一方に痛みが出ることが多いので、痛みが出ていない側の予防策にも取り組むと効果的です。さらに血行を良くすることで、治癒を促し痛みの緩和が期待できます。

腱板損傷(腱板断裂)

正常な腱板(左)と断裂した状態の腱板(右)

こんな症状から始まります

四十肩や五十肩と混同しやすいのですが、肩腱板損傷は関節の動きに関わらず、腕を上げると軋轢音がしたり、鋭い痛みを感じたりするようになります。腱板損傷を起こすと、腱板の上にある滑液包が強く炎症し、腫れや充血などを起こします。そのため、就寝時など安静にしていても痛くて目が覚めるなど違和感があります。また、腱板の断裂は50~60代以降の方に多く発症します。

原因

肩腱板損傷は、肩甲骨と上腕の骨をつないでいる腱板が損傷、断裂してしまうものです。転倒や打撲で肩に急激に強い力が加わったことで起こる場合や、日頃から肩仕事やスポーツで肩を酷使した結果起こる場合があります。腱板損傷は腱がすべて切れてしまったとしても、三角筋がしっかり働けば、肩を動かせる可能性も高く、ご自身で腱板損傷だと思わず放置し、悪化させてしまう場合があります。切れた部分が広がったり、腱の破れた部分から骨同士が衝突を起こし、骨の変形を起こしたりすることもあります。

なりやすい人

スポーツや仕事などで肩を酷使している人、特に腕や手を頭よりも高い位置に挙げて繰り返し作業をする仕事やスポーツをする人が起こしやすい傾向があります。また、加齢によっても起こりやすく、40歳以上の男性に多く発症します。ケガが原因で肩腱板が断裂してしまった場合は早急な手術をして元に戻すことが望ましい場合もあります。

診断

診察では、肩の挙上制限や拘縮があるかどうか、軋轢音があるかどうかなどを調べます。軋轢音や棘下筋萎縮があれば、腱板断裂を疑います。

治療

多くの人はリハビリ治療で損傷していない筋肉の動きを改善させ、症状を緩和させていきます。痛みが取れない場合、肩腱板が完全に断裂してしまった場合には、手術による治療が必要となります。小切開による手術を行い、断裂してしまった腱板を再び骨溝に縫い付けていきます。
手術後はしばらく肩を固定し、その後リハビリテーションで少しずつ肩を動かす範囲を広げていきます。

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