尿糖検査について
健康診断や診察などで「尿をコップに採ってください」と言われたことはありませんか?
体の中を流れている血液の検査とは違い、尿は排泄物であり体にとっていらなくなったもの、というイメージを持たれている方も多いのではないかと思います。しかし、尿からは体のさまざまな異常を発見することができます。今回は「尿(潜血)検査」に続き、尿検査より尿に含まれる糖(尿糖)の検査についてお伝えします。
尿に含まれる糖(尿糖)とは
尿糖とは、尿として体から排出されるブドウ糖のことを主に指します。
健康な人にも「ほんのわずかに」ブドウ糖が含まれており、1日あたり40~85mg程度は排出されるといわれています。
血液中に含まれるブドウ糖は、血液が腎臓を通るときに水分や老廃物など一緒に、一度、腎臓のなかに捨てられています。この捨てられた液が尿の元となる「原尿」と呼ばれます。この原尿のなかには、まだ体に必要な栄養素やブドウ糖などが含まれたままです。そのため、腎臓はこの原尿から必要な栄養素やブドウ糖などをもう一度吸収する働き行い、最終的に再吸収されずに残ったものが尿として排出されます。
再吸収されないもの=糖尿
この尿中の糖の量が増える、つまり再吸収されずにブドウ糖が大量に捨てられてしまう状態を「糖尿」というのです。
「糖尿病」もこのような病態を示す疾患のひとつです。
なぜ? 糖尿が増える理由
どのような時に尿糖は増えてしまうのでしょうか。
それは腎臓で再吸収できる限界の量を血液中のブドウ糖の量が超えたときに起こります。例えば、食事によって一時的に増えるもの、一過性の原因で起こるもの、持続的に起こるものなど、さまざまな原因があります。
健康状態に特別異常がない場合でも、ブドウ糖を大量摂取した場合は、精神的ストレス、運動後、頭部外傷、ステロイドの過剰投与などの際に「一時的」に尿糖の量が増えてしまう場合があります。「一時的」なものなので、病的なものではありません。
ただし、これが継続して起こる場合は糖尿病の可能性も考えられるため、医療機関でOGTT検査などの追加検査が必要となることもあります。
体内ろ過装置、腎臓の役割
腎臓は体にとってなくては生きていけない重要な器官のひとつです。腰の上あたりに左右ひとつずつあり、血液をきれいにするための「体内ろ過装置」です。ろ過するためのネフロンが100万個も集まってできています。大切に労わって健康に過ごしましょう。
検査部