運動と飲酒の関係性
夏の暑さに加え、イベントごとなどでお酒を飲む機会も多いかと思います。今回は「運動と飲酒」についてご紹介します。
飲酒が及ぼす身体機能への影響
飲酒のメカニズムを知ろう
お酒を飲むと、胃で約20%、小腸で80%吸収され血液に溶け込み門脈を通って肝臓へ運ばれます。これは、アルコールは体の中の水分がある場所に流れる小さな分子だからです。そのため、肝臓で分解される前に、心臓を含めた全身の血液を通ります。その際に、脳にもアルコールが到達するため、脳が麻痺して「酔っ払う」という状態が起きるのです。
お酒1杯でも運動すると危険
お酒を飲むと、血中アルコール濃度が高くなります。この状態で運動をすると、血液が筋肉に分散され、内臓に血液が集められずアルコールを分解する速度が遅くなります。その上、お酒を飲んだ後の運動は血液の循環が早くなり、酔いが回って平衡感覚が乱れています。「1杯飲んだだけ」と思っていても、バランス感覚や判断力に影響を及ぼし、想定外のアクシデントや心臓発作に結びつく危険性があるため、控えることが望ましいと言われています。
トレーニング効果が減少
「トレーニングを頑張ったご褒美に」とお酒を飲む人もいるかもしれませんが、それは、トレーニングの効果を減少させてしまうことになります。
筋肉量を増やすために必要な「mTOR」という細胞の増殖や代謝を調節する酵素の活性化は、お酒を飲むことで活動が減弱するからです。さらに、筋肉の成長や回復の速度は、アルコールの影響を受けて低くなります。トレーニングをしたあとのお酒は、控えることが望ましいと言われています。
運動後はお酒以外を飲もう!
お酒を飲むことは適量であればストレスの発散、血行を促進し動脈硬化を予防するなどの医学的効用があるとも言われています。ですが、適量を越えると脳や臓器に悪影響を及ぼしてしまいます。また、お酒が残っている状態での運動や、トレーニングのあとの飲酒が身体に与える影響を理解することも大切です。
運動・トレーニングを効果的に行うためにも、お酒との関係性を覚えていただければと思います。
参考文献
- 丸山勝也:節度ある適度な飲酒とは‐飲酒の功罪‐.日本醸造協会誌.2010
- 厚生労働省e‐ヘルスネット