意外と多い「歯のケガ」を防ごう
今回は、格闘技やラグビーなど接触が激しいスポーツで起こる「歯のケガ」を防ぐために必要な、マウスガードの効果と「なぜ必要なのか」という点をご紹介します。
マウスガードを装着する効果
- 外傷予防:マウスガードを装着することで、自身の歯や口腔内を保護できます。また、スポーツ中の接触プレーで相手選手をケガさせない予防効果にもつながります。
脳震盪 :マウスガードを装着することで、外部からの衝撃を分散・吸収する効果があります。マウスガードを装着して噛みしめることで、首のまわりにある筋肉(頚部筋)の緊張がとても高くなり(亢進し)、衝撃を和らげるため脳震盪 の予防効果にもつながります。- スポーツ中の筋力・パフォーマンス向上:科学的根拠は少ないですが、マウスガードを装着していると、握力や背筋力、座った状態から膝を曲げる力(膝関節伸展筋力)が向上する場合もあります。また、マウスガードの装着に不快感がない人は、動体視力の向上や、自律神経が活性化されプレーに集中できるなどの効果にもつながります。※1)
意外と多い?! 歯のケガについて
格闘技やラグビーなど接触が激しいスポーツでは、マウスガードの装着が義務化されています。また、最近の傾向として体育や部活動などでもスポーツ競技によっては、マウスガードの装着を推奨されています。
小学生から高校生を対象にした歯牙障害(歯の喪失・欠損)の割合は、マウスガード装着を推奨するスポーツ競技が多くなっています。ラグビーや柔道は、マウスガードを装着することで、
平成18年から平成27年の小学生・中学生・高校生を対象とした1564例の割合では、小学生から中学生は約11~17%ですが、高校生になると約35%と高くなります。高校生は、危機管理能力も向上する一方で、身体機能も大きく向上した結果、技術不足で身体・ボールのスピードが調整できず衝突し、
- 小学1~3年生 2/19(11%)
- 小学4~6年生 11/83(13%)
- 中学生 89/509(17%)
- 高校生 331/953(35%)
接触が多いスポーツはマウスガードを検討しよう
格闘技やラクビ―だけでなく、競技人口が多い野球やサッカーなどの球技でも、歯によるケガは意外と多いです。あまり馴染みがないかもしれませんが、マウスガードを装着することでケガを予防できる可能性があります。中学生から高校生のスポーツ競技に取り組む方は、装着を検討してみましょう。
- 参考文献1)
石田純一他 「スポーツパフォーマンスに与えるマウスガードの影響についての研究~動体視力、平衡感覚、自律神経系に及ぼす影響への検証と考察」