女性アスリートの三主徴 〜 健康管理 〜
アスリハ通信第30回目は「女性アスリートの三主徴
」についてです。
激しいトレーニングを継続的に行い続ける女性アスリートには、健康上のリスクがあると言われています。これらを「女性アスリートの三主徴
」といい、アメリカスポーツ医学会(ACSM)や国際オリンピック委員会(IOC)などから予防と対応の重要性が強調されています。今回は女性アスリート特有の問題と対策をご紹介します。
女性アスリート特有の問題とは?
「女性アスリートの三主徴(FAT:Female Athlete Triad)」は、1997年にアメリカスポーツ医学会によって発表され、2007年に現在の項目に変更され、現在は以下の項目があります。
- 利用可能エネルギー不足
- 視床下部性無月経(運動性無月経)
- 骨粗しょう症
この三主徴の始まりは、利用可能エネルギー不足だと考えられています。
激しいトレーニングで体内に必要なエネルギー消費量が増えているものの、「やせ体型=有利」という点や審美を気にしてしまい、食事の摂取量を減らす選手が少なくありません。
必要なエネルギー摂取量が慢性的に不足した状態が続き、無月経となってしまう女性アスリートもいます。無月経の状態は、骨を強くするために必要なホルモンの分泌が低下してしまうため、骨粗しょう症を引き起こして骨がもろくなってしまいます。その状態で強い負荷のあるトレーニングを続けた結果、疲労骨折などのケガに繋がるケースまで出てきてしまいます。女性アスリートにとって、エネルギー不足にならない栄養への配慮が必要になります。
チェックシートを活用しよう!
女性アスリートの三主徴(FAT:Female Athlete Triad)は、さまざまな競技団体からも注目されています。「もしかして私も女性アスリートの三主徴に当てはまっているのでは?」と思った方は、簡単にチェックできるスクリーニングシートがインターネット上に掲載されています。いくつかご紹介しますが、ご自身に合った情報を得て参考にしてください。
順天堂大学女性スポーツ研究センター:FATスクリーニングシート
日本バスケットボール協会:女子・女性アスリート/女性コーチ関連資料
独立行政法人日本スポーツ振興センター /スポーツ庁委託事業 女性アスリートの育成・支援プロジェクト 女性アスリート支援プログラム
女性アスリートの三主徴を防ぐには
女性アスリートにとっては目に見えるケガの予防以外に、利用可能エネルギー不足を軸とした三主徴(FAT:Female Athlete Triad)への配慮が必要ですが、指導側に馴染みがない場合や女性アスリート自身が発言しにくい場合もありますが、本人だけが管理するのではなく、指導者や家族の協力が不可欠です。特に下記の2点には注意が必要です。
- 適切な強度、適切な量のトレーニングを行う
- 消費エネルギーに見合ったエネルギー摂取をする
ケガやトレーニング以外にもさまざまなケアが必要になるからこそ、専門的知識のある医療機関やトレーナーを頼ることも選択肢のひとつです。当院のアスレティックリハビリテーションでも女性アスリートが抱える悩みや問題を解決できるようサポートしています。ケガ・トレーニングと合わせたお悩みや不安もぜひご相談ください。