寒暖差の影響で注意すべきこと
近年、気候の変化が激しく、朝晩と日中の寒暖差が大きい日が増えています。
このような寒暖差は、私たちの身体にさまざまな影響を及ぼします。
特に高齢者や持病のある方にとっては、体調の変化だけでなく、筋肉やバランス機能にも影響を与える可能性があるため十分な注意が必要です。
寒暖差と筋肉・バランス機能への影響
寒暖差が大きくなると、自律神経の切り替えが頻繁に起こり、交感神経が優位になりやすくなります。この状態が続くと、血管が収縮し筋肉への血流が減少し、筋緊張が高まりやすくなります。その結果、「肩こり」「腰痛」「関節のこわばり」といった症状が現れやすくなり、バランスをとるための反応も鈍くなることがあります。さらに、冷えによって筋肉の柔軟性が低下することで、転倒リスクが高まることも報告されています。※1
寒くなるとヒートショックにも注意が必要
冬場に特に注意が必要なのが「ヒートショック」です。
暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に移動する際、急激な血圧変動が起こり、失神や心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすことがあります。予防のためには、入浴前に脱衣所や浴室を暖めておくこと、入浴温度を40℃以下に設定すること、湯船から急に立ち上がらないことが効果的です ※2
訪問リハ現場で見かける冬場の注意点
冬場は、こたつ・じゅうたん・電気カーペットなどの暖房器具を使用する機会が多くなります。これらの暖房器具は、つまずきやすく転倒を招く要因にもなります。
特に、こたつ布団の端や電気コード、厚手のじゅうたんの段差などは、高齢者にとって転倒リスクを高める要素です。※3
寒暖差のある時期こそ、日常生活の小さな工夫が大切です。
訪問リハビリの現場でも、利用者さん一人ひとりの生活環境に合わせた
安全対策や運動指導を行っています。 師走を前に、ご自宅の環境を今一度見直して寒い冬を乗り切っていきましょう。
訪問リハビリ一同
- (参考文献)
- 小林寛和ほか:高齢者における体温変動と筋機能との関係,理学療法科学,2019.
- 国立循環器病研究センター:入浴関連事故予防の手引き,2022.
- 日本気象協会:寒暖差疲労に関する調査報告書,2021.