ドミノ骨折(骨折の連鎖)について
ドミノ骨折という言葉をご存じですか?
例えば、背骨を1ヵ所骨折すると、そのほかの背骨も次から次へと骨折してしまう状況や、太ももの付け根の骨など、ほかの部位も連鎖して骨折してしまったりするケースが多いことが知られています。一度骨折すると、ドミノ倒しのように次々と骨折するため、「ドミノ骨折(骨折の連鎖)」と呼ばれています。
どのぐらい起きやすい?ドミノ骨折(骨折の連鎖)
過去に背骨を骨折している人は、新たに背骨の骨折を起こす頻度は5倍、新たに太ももの付け根を骨折を起こす頻度は2.5倍、と明らかに過去に骨折をしたことがない人と比べると発生率が高くなります。また「骨折の家族歴」も重要で、両親のいずれかに太ももの付け根の骨折の既往がある場合は、太ももの付け根を骨折するリスクは2.3倍高いと言われています。親子関係があると、骨密度の値が近似していると報告されており、親子間にも骨折連鎖は関連があると言われています(※1)。骨折の連鎖は、日常の生活や活動性を著しく低下させ、その結果「介助・介護」が必要な状態になる可能性が一層高くなるので十分に注意が必要です。
どう防ぐ?ドミノ骨折(骨折の連鎖)
骨密度の重要性
ドミノ骨折は、骨折の危険性の高い骨粗しょう症を予防することが重要です。骨粗しょう症の診断には「骨密度検査」が用いられます。「骨密度」は、骨の強さを判定するための代表的な指標です。骨密度は女性の場合、18歳あたりでピークに達し、その後40歳代半ばまでほぼ一定を維持しますが、 50歳前後から低下していきます。加齢によって骨密度が低下するのは、女性ホルモンの分泌量減少に加えて、腸管でのカルシウムの吸収が悪くなったり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなるなどの理由があります。高齢者が骨粗しょう症になりやすいことはこれらのことから容易に想像できますが、近年は、若年層の女性も注意が必要と言われています。
意外?!盲点になりやすいビタミンD不足
強い骨をつくるためには、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの働きが重要です。ビタミンDは食事からの摂取だけでなく、日光を浴びることでも得ることができます。日光に含まれる紫外線にはヒトの体内でビタミンDを合成する働きがあります。
しかし・・・日焼け止めをしていると皮下でのビタミンD産生量が低下する可能性があります。近年、美白・美肌を意識する若年層は年々増加し、年中日焼け止めを使用している方も少なくありません。例えばSPF30*の日焼け止めをしていると、皮下でのビタミンD産生は5%以下に落ちるといわれています(※2)。
紫外線対策は子供から大人にいたるまで、皮膚がんのリスク軽減や肌のケアなどのため欠かせない部分もありますが、骨の健康を考えると、適度に日光を浴びることも大切です。
ドミノ骨折を予防するためには
- 自分自身の骨の状態(骨密度など)を意識・把握しましょう
- カルシウムやビタミンDが豊富な食品を取り入れバランスの良い食事を摂りましょう
- 適度な運動やウォーキングなどで骨の活性化を図りましょう
- 転倒しない環境作りをしましょう(外出時はなるべく両手を開ける・サンダルではなく靴を履く等)
訪問リハビリ一同
- 公益社団法人日本整形外科学会:整形外科シリーズ34
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」