お家でチェック⑧キック動作
今年度は「おうちでチェックできる内容」を毎月のコラムで紹介していきます。第8回は「キック動作」についてです。
「キック動作とは」
主にサッカーやラグビーなどで用いられる動作です。可動性・安定性・協調性の3つが良好な状態で行われ、上半身と骨盤が回旋する連動的な動作のことをキック動作と言います。この連動性のある動作はクロスモーションとも呼ばれています。
不良パターンでキック動作を続けてしまうと、鼠径部周囲の疼痛を引き起こすグロインペイン症候群(※1)や椎間関節症や腰椎分離症などの腰痛を引き起こす可能性があると報告されています。(※2)
「キック動作のフォーム」
キック動作は以下のフォームに分解することができます。
- アプローチ相:ボールに対して軸足を踏み込むまで
- テイクバック相:蹴り足の反対の腕が動作をリードし、運動連鎖が開始蹴り足の股関節が伸展(後方に移動)最大になるまで
- コッキング相:膝関節が最大屈曲(曲がった状態)、蹴り足のスイングが後ろから前方に変わるまで
- アクレラレーション相:膝関節最大屈位からボールインパクトまで
「キック動作の不良パターンの代表例」
- 軸足の後方重心や外側荷重
- テイクバックの股関節伸展不足
- 対側上肢の不使用
- 骨盤帯回旋の過不足が挙げられます。
「自身のキック動作をチェックしてみましょう」
蹴り足側の片手を壁や柱で支持し、キック動作のように前後に足をスイングしていきます。
チェックポイントは動作中に体幹が安定しているか、骨盤が垂直、水平に回旋しているか、蹴り足の反対側の腕を使えているか、連動した動きになっているかをチェックします。
上記で示した不良動作パターンのような非効率なキック動作になると、痛みや機能障害の生じる原因になります。可動性の獲得や安定性の獲得のため個別のトレーニングが必要になってきます。当院では具体的なストレッチ方法や筋力トレーニングの運動指導など行うことができます、お困りの際はぜひご相談ください。
参考URL・引用文献
- 1)仁賀定雄,鼠径部症候群の定義は修正される,日本スポーツ医学会誌2017
- 2)戸島美智生 三次元動作解析を用いた発育期サッカー選手の腰痛解明,日本スポーツ医学会誌,2020
- 画像参考)青木治人:スポーツリハビリテーションの臨床12章サッカー.メディカル・サイエンス・インターナショナル.334-340