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アスリハ通信

学童期のスポーツと運動能力

アスリハ通信第38回は理学療法士の高田が担当します。今回は「学童期のスポーツ」についてです。
学童期とは7~12歳くらいの小学生を指しますが、近年はこの学童期の体力・運動能力の低下と運動習慣やスポーツ習慣の減少が続いています。学童期の子どもが運動しないことがどのような影響を与えるのかをご紹介します。

学童期の運動能力低下が止まらない?!

2021年度の全国体力テストにおいて、小学生男子は調査開始後、過去最低の記録となっています。特に「20mシャトルラン」「持久走」「上体起こし」「反復横跳び」では大きな低下がみられています。運動習慣調査の実施結果では、「体育の時間を除いて1日1時間以上運動する」と答えた児童生徒の割合は、小中学生の男女ともに年々減少しています※1)。このような原因のひとつに、スマホの普及などで生活習慣や社会環境の変化し、運動しない・外出しない児童が増えたことがあります。

学童期の成長スピード

スキャモンの発育曲線学童期の子どもにとって運動習慣は、その後の成長の基礎となる体力や運動機能などに繋がっています。さまざまな成長過程がありますが、なかでも脳・神経系の発達が著しいとされています。そのため、この時期にさまざまなスポーツ活動を経験し、基本的な動作を獲得して、その後自分に合ったスポーツや得意なスポーツを選択していくことが望ましいとされています。(※図1参照)
一方で、成長・発達過程の学童期にスポーツ活動が要因で身体のさまざまな部位に痛みを感じる・痛みを訴える場合があります。学童期に多いスポーツ傷害は以下のようなものがあります。

上記のようなスポーツ傷害は、主に筋肉の柔軟性の低下や筋力不足が原因となります。
特に学童期の時期に硬くなりやすい筋肉がありますので、筋肉をほぐすストレッチをご紹介します。

簡単!学童期のスポーツ傷害ストレッチ

大腿四頭筋のストレッチ

大腿四頭筋のストレッチ①横向きに寝転がり下になっている脚を90度に曲げます。(写真の場合は右足)
②反対側の脚(上になっている脚)の足首を手で持ち、膝を折り曲げるように足を引っ張ります。(写真の場合は左足)
③「太ももが伸びている」という感覚の状態から30秒ストレッチを行います。
1回30秒を3セットほど行ってください。

ハムストリングスのストレッチ

ハムストリングのストレッチ①椅子に骨盤を立てて浅く座ります。
②片方の脚を伸ばし、もう一方の足は踏ん張れるようにしておきます。(写真の場合は左足)
③背中が丸まらないようにしながら前に上半身を倒していきます。上半身を倒したときに「太ももの裏側が伸びている」という感覚の状態から30秒ストレッチを行います。
1回30秒を3セットほど行ってください。

肩甲骨後面のストレッチ

肩甲骨後面のストレッチ①ストレッチをしたい片腕を伸ばし、もう片方の腕で抱え込みます。
②伸ばした腕のひじ付近を、もう片方の腕で下から肘の内側を引きつけます。
③引きつけたときに伸ばしたい腕の「肩の後方が伸びている」という感覚の状態から30秒ストレッチを行います。
1回30秒を3セットほど行ってください。

手関節屈筋群のストレッチ

手関節屈筋群のストレッチ①伸ばしたい腕を前に出し、手のひらを上に向けます。
②もう片方の手を使って手のひらを身体のほうへ引っ張ります。
③手首から前腕にかけて「伸びている」という感覚の状態から30秒ストレッチを行います。
1回30秒を3セットほど行ってください。

ほかにも…

以前ご紹介した「子どもの運動習慣と骨密度」内でも、学童期の運動習慣が骨粗鬆症予防に関係していることを説明していますので、併せてご確認ください。

引用文献
1)スポーツ庁.「令和3年度全国体力・運動機能、運動習慣等調査結果
2)松尾保.(1996)「新版小児保険医学」日本小児医事出版社、第5版、P10