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アスリハ通信 リハビリテーション

疲労骨折 〜なんとなく続く痛み我慢しない!〜

アスリハ通信、第33回です。今回は、疲労骨折の原因やよく起こる部位、予防についてご紹介します。

疲労骨折とは?

「骨がバキっと折れる」通常の骨折(完全骨折)は、1箇所に大きな力が加わって骨が折れますが、疲労骨折は同じ部位(骨)に小さな力が少しずつ長く加わり、損傷の積み重さなりで起こります。 ※場合によっては通常の骨折(完全骨折)に至る場合もあります

ここが違う!通常骨折と疲労骨折

疲労骨折は、骨にわずかな亀裂が入った程度であればスポーツ競技を継続してしまう傾向があり、見逃されることが多い骨折です。早期発見と適切な治療を行うことで、重症化するリスクは少ないですが、スポーツ競技をしている場合、痛みが強くなっても練習を継続してしまう選手や学生が多いです。また、骨折した直後にレントゲン検査(単純X線)をしたものの、「骨折線が映らず判明しにくい」という場合もあります。

起こりやすい年齢について

疲労骨折は、10~20歳代に多くみられると言われています。
性別に関係なく中学生よりも高校生以上に多い傾向がありますが、女性は体重を気にするあまり必要なエネルギーが不足した状態が続いているなどで、疲労骨折のリスクが高くなります。女性アスリート特有の問題については女性アスリートの三主徴を参照ください。

起こりやすい部位

疲労骨折が起こりやすい部位

疲労骨折が起こりやすい部位はすねの内側にある脛骨(けいこつ)足の甲にある中足骨(ちゅうそくこつ)に多発すると言われています。この2つの部位で全体の約7割を占めますが、手首の骨・肘の骨・肋骨・脊椎(腰骨)など、1箇所を長く使いすぎる(オーバーユース)で起こる場合は、あらゆる部位で疲労骨折が起こることになります。
一方で、すねの内側にある脛骨(けいこつ)の疲労骨折は、競技によって起こりやすい部位で次のように分けられます。
脛骨疲労骨折
疾走型(膝に近い部分/すねに近い部分)
すねの内側の脛骨(けいこつ)の上1/3の部分、または、下1/3の部分あたりに圧力が加わり発生し、走る競技や走る練習による疲労骨折が目立ちます。
跳躍型(脛骨の中央部分)
すねの内側の脛骨(けいこつ)の中央1/3あたりに多く発生し、その部分のレントゲン写真で亀裂線がみられることがあります。この疲労骨折は、完治するまで時間がかかる傾向が強く、半年以上安静が必要な場合や、治らない症例も少なくありません。その場合は手術の適応となることがあります。

どうすれば防げる?

疲労骨折になりやすい人の要因に、本人の管理と用具の関係性があります。

本人が防ぐために心がけること

疲労骨折になりやすい原因として筋力不足・バランス力に必要な筋力不足・身体の柔軟性不足が挙げられます。そのため、筋力アップやバランス感覚を培う、柔軟性を高めることが大切です。以前の動画で「ハムストリングス」や「内転筋」「バランストレーニング」を参考にしていただければと思います。

用具について

用具について

予防策のひとつに、「シューズの選びかた」があります。
成長期は特にシューズを頻繁に変えることをためらって、足への負担が大きくなっていることもあります。また、走るトレーニングは必ずランニングシューズに履き替える、サッカーのスパイクを選ぶときには、ポイント形状をブレードタイプではなく丸型タイプにするなど、用具を調整することで予防に繋がります。

痛いときは迷わず病院へ

疲労骨折を放置していると症状が進行し、治療期間が長くなります。当院は、スポーツ整形外科も担当している医師が診察をする月曜・水曜・木曜・金曜に相談する方法もありますので、お気軽にご相談ください。
一般的に骨折箇所をギプスで固定するケースは少なく、痛くなければウォーキングや筋力トレーニングなどを行うことも可能です。なんとなく違和感がある…と感じたらすぐに受診しましょう。

最後に…
日本陸上競技連盟では、「疲労骨折予防10か条」を掲げています。ぜひ参考にして、予防に努めましょう。

  • :疲労感、体調には十分気をつけましょう
  • :ロードでもトラックでもフィールドでもたくさん走れば発生します
  • :運動しすぎは要注意
  • :骨密度(骨の強度)が低ければ、発症率は高くなります
  • :つらい減量は疲労骨折のもとです
  • :生理(月経)がこないようでは骨は減ります
  • :疲れた筋肉では、骨を守れません
  • :よい栄養をとりましょう
  • :ボーイもガールも疲労骨折はおこります
  • :運動、ランニング中のしつこい痛みは、すぐ医師へ

引用
1)臨床スポーツ医学 2019.12 Vol.36
2)https:/www.jaaf.or.jp 日本陸上競技連盟