アスリハ通信、第9回目は理学療法士の渡邉が日常生活やスポーツ中のケガとして頻繁に起こりやすい、「捻ねん挫ざ」についてお伝えします。
捻ねん挫ざを起こしたときの応急処置についてもご紹介します。

捻ねん挫ざとは？

捻挫という文字の通り、「捻ひねる」「挫くじく」ことを言い、関節に大きな力が加わり本来の可動域を超えてしまったことで、関節を包んでいる組織や靭じん帯たいが損傷した状態を「捻ねん挫ざ」と言います。
すべての関節で生じる可能性がありますが、「足首」が最も捻ねん挫ざしやすく、今回はその足首の捻ねん挫ざ（足そく関かん節せつ捻ねん挫ざ）について説明します。

足そく関かん節せつ捻ねん挫ざとは？

足そく関かん節せつ捻ねん挫ざは「ジャンプ後の着地」「急な方向転換」「不安定な地面」などで起こりやすいケガです。特に足関節が内側に強くねじられることで外側の靭じん帯たいが伸ばされて損傷する「足そく関かん節せつ内ない反はん捻ねん挫ざ」が大半を占めます。
「ただ捻ねん挫ざしただけ」と思っているケガは、実は靭じん帯たい損傷の状態なのです。

痛みが落ち着けば治ってる？

捻ねん挫ざは靭じん帯たいの損傷程度によって、3つに分類されます。

1. 1度捻挫：前ぜん距きょ腓ひ靭じん帯たいの部分損傷（靭帯付着部での軽微な損傷）
2. 2度捻挫：前ぜん距きょ腓ひ靭じん帯たいの断裂
3. 3度捻挫：前ぜん距きょ腓ひ靭じん帯たいと踵しょう腓ひ靭じん帯たいの断裂

捻ねん挫ざをした直後は「腫れ」や「内出血」などが起こり「体重を乗せると痛い」という実感があっても、2～3日後には痛みや腫れが落ち着き、スポーツ活動に復帰する方が多いと聞きます。ですが、本来の安静期間よりも前に活動を再開することで、不安定な状態もしくは筋力が低下した状態で関節を動かしてしまい、動きやフォームに異常が残り、捻ねん挫ざを再発させてしまうだけでなく、そのほかに大きなケガを招いてしまう恐れがあります。

捻ねん挫ざをしてしまったら…

捻ねん挫ざをしたとき、損傷部位を最小限にとどめられるように、まず応急処置（RICE処置）を行いましょう。RICE処置とは、Rest（安静）・Icing（冷却）・ Compression（圧迫）・Elevation（挙上）の4つの処置の頭文字です。捻ねん挫ざ以外にも肉離れや打撲などの外傷の応急処置として役立ち、早期に対応することで内出血や腫れ、痛みを抑え、回復を助ける効果があります。

なかなか治らないときには…

捻ねん挫ざしたあと、痛みがなかなか引かない場合や繰り返し足そく関かん節せつ捻ねん挫ざを起こしてしまう場合は、最寄りの整形外科で受診することをおすすめしています。当院の整形外科では、痛みの原因を検査・診察するだけではなく具体的なストレッチ方法や痛みの軽減方法や対策などもご紹介しています。また、リハビリでお困りの場合も一度、ご相談いただければと思います。