おせちの料理と栄養について
12月下旬になり、いよいよ新年の準備を始める方も多いのではないでしょうか。新年の準備のひとつに「おせち料理」があります。当院では、毎年、元日に「おせち料理」を提供しています。今回は、おせち料理の意味と由来をいくつかご紹介します。
そもそも、おせち料理の意味とは?
おせち料理は、本来、お正月だけのものではなく、季節の変わり目(節句)を祝う際の神様へのお供え料理でした。さまざまな説がありますが、江戸時代に「1年の節日で一番大切なお正月」にふるまわれる料理へと変化し、今の「おせち料理」と同じようになったと言われています。そのため、漢字では「御節料理(おせちりょうり)」と書きます。また、当時は、毎日家事をする女性が「お正月の3日間くらいは料理をしなくても良いように」と保存の効く食材が中心になったと言われています。
おせち料理に込められた意味と食材の栄養について
おせち料理に使われている食材には、さまざまな「願い」が込められている品が多くあります。今回は代表的な5つの食材の意味と含まれる栄養素をご紹介します。
栗きんとん
(意味)・・・きんとん(金団=財宝)にたとえて、今年も豊かな生活を送れますように、という願いが込められているとされています。
(栄養)・・・さつまいもに含まれるビタミンCは、温州みかん並みに高いと言われています。また、切ると出てくる白い液体はヤラピンという成分は食物繊維と相まって便通を良くしてくれる効果があります。
昆布巻き
(意味)・・・古くから「こぶ」には「養老昆布(よろこぶ)」といわれ、おめでたい席には欠かせない食材です。
(栄養)・・・昆布の食物繊維であるアルギン酸には、悪玉コレステロールの低下や血圧低下などの作用が認められています。
数の子
(意味)・・・子孫繁栄や子宝への願いが込められているとされています。
(栄養)・・・DHA、EPAという多価不飽和脂肪酸は悪玉コレステロール・中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やしてくれる効果があります。
田作り
(意味)・・・田作りは別名、ごまめ(五万米)と呼ばれていることから五穀豊穣の願いが込められているとされています。
(栄養)・・・片口いわしの稚魚を使用している田作りは、カルシウムとカルシウムの吸収率を高めるビタミンDも多く含まれているため、骨や歯を強くしてくれます。
黒豆
(意味)・・・黒々と日焼けし、「まめ」に働けるほど健康でいられますように、という願いが込められているとされています。
(栄養)・・・大豆の一種なので、イソフラボンには悪玉コレステロールの低下作用、骨粗鬆症予防に効果があることが認められています。また、カリウムも多く含まれており、ナトリウムを排泄する作用があることから、高血圧の方におすすめの食材です。
(※参照:医歯薬出版 新版 日本食品大辞典、成美堂出版 栄養の基本がわかる図解辞典)
「おせち料理」には、それぞれの食材に栄養があります。お正月の賑やかな雰囲気と合わさって、ついたくさん食べてしまいたくなりますが、おせち料理は保存ができるように醤油や砂糖でしっかりと味がついています。食べ過ぎないように注意し、よく噛んでゆっくり食べながらいろいろな食材からパワーをもらって、来年も元気に過ごしましょう!
管理栄養士