アニサキスによる食中毒?!
鮭やサバ、秋刀魚など魚のおいしい秋になりましたが、そこには「アニサキス」による食中毒の危険が潜んでいます。今回は「アニサキス」の症状や予防法をご紹介します。
アニサキスと食物連鎖の深いつながり
アニサキスは、クジラやイルカなどの海洋ほ乳類に奇生する奇生虫で、魚の内臓に寄生し、奇生したアニサキスの幼虫は消化管で成虫となり産卵、クジラやイルカの便と一緒に海中に排出され、この卵を甲殻類が捕食して、鮭やサバ、秋刀魚などの魚に寄生します。そして、人が魚を食べる際にこのアニサキスを生で食べてしまい、食中毒(アニサキス症)が発症します。
アニサキス症ってどんな症状?
食後数時間で、胃のあたりに激しい痛みが出現します。嘔気・嘔吐などの症状が出ることも多く、しばらくすると痛みは落ち着きますが、また数分すると痛みの波がやってきます。一定の間隔をおいて痛みに波が出ることがアニサキス症の特徴です。
予防のポイントは??
予防のポイントは、大きくわけて3つです。
- 生食を避けて冷凍や加熱処理をする:冷凍なら-20℃で24時間、加熱なら60℃で1分間加熱するとアニサキスは死滅します
- 魚を観察する:アニサキスの幼虫の大きさは長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらい白色です
- 新鮮な魚を選ぶ:魚を購入したあとは、速やかに内臓を取り除き、内臓は生で食べないようにしましょう
胃カメラで見つかるアニサキス
アニサキスは長さ2cmほどの白く細長い線虫で、捕まえようとするとくねくねと動きます。アニサキスが刺さっているところだけでなく、離れた場所にも赤いむくみがみられたり、時には浅い潰瘍ができていることもあるため、胃カメラで虫体を摘出することもできます。ただし、人の体内では長く生きられず、1週間以内には死滅するといわれています。そのため、ほとんどの場合は、絶食と点滴輸液で症状はよくなります。
食事の際に、お刺身を食べて急激な腹痛や嘔気・嘔吐などの症状が出た場合は、まずは最寄りの医療機関を受診することをおすすめします。また、食べ方や調理方法でアニサキス症の危険度は下がりますので、工夫して食中毒を予防しましょう。
看護部