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アスリハ通信

お家でチェック12:投球障害

今年度は「お家でチェックできる内容」を毎月のコラムで紹介していきます。第12回は「投球障害」についてです。

「投球障害」をおさらいしよう

投球障害とは、野球を中心に、投球動作(ボールを投げる動作)を繰り返すことで発生する機能障害による痛みのことを指します。
投球動作(ボールを投げる動作)で起こることから「肩関節」や「肘関節」などに発生することが多く、なかでも野球を行う中学生を対象にした調査では、約50%の中学生が「過去に肩や肘の痛みを経験したことがある」(※1)という回答結果が出るほど、小中学生でも起こる身近で悩ましい問題です。
特に投球傷害が発生する組織は、成長期が骨軟骨障害・成人期では筋・腱の障害が中心になります。

「投球障害」を抑える取り組みも進んでいるが…

投球障害の危険因子(要因)に、投球数が挙げられます。日米の違いはありますが、投球機会が年間100イニングを超えると投球障害の発生率は3.5倍になる(※2)とも言われています。また、身体機能で代表的なものとしてはGIRD(Glenohumeral internal rotation deficit)と呼ばれる肩関節内旋制限が挙げられます(※3)今回は自宅でできるセルフチェックをご紹介します。

投球動作パターンでのセルフチェック!

肩関節内旋可動域チェック①


【チェック方法】ペットボトルの蓋を上に向けた状態でテイクバック姿勢をとり、投球側の肘が両肩を結んだラインの延長線上まで上がっているかどうかをチェックします。
投球側の肘がラインよりも上がっていれば機能良好と言えます。

肩関節内旋可動域チェック②


【チェック方法】棒やバッドを写真のように持ち、胸を張ったり背中を丸めたりした時に肩に張り感や痛みがでないかどうかをチェックします。
張り感や痛みがでない場合は機能良好と言えます。

肩関節内旋可動域チェック③


【チェック方法】俗に言う「前ならえ」の姿勢で腕を内側に捻っていき、両手の小指同士が接触するかどうかをチェックします。
小指同士が接触すれば機能良好と言えます。
また、小指同士が接触しても肩の高さが左右異なっている場合は機能障害ありと判断できますので、注意しましょう。

肩関節内旋可動域チェック④


【チェック方法】俗に言う「腹筋」姿勢で投球側の手のひらで反対側の膝の外側を触れられるかどうかをチェックします。
小指を上に向け、膝の外側をしっかり触ることができれば機能良好と言えます。

  1. 一般財団法人全日本野球協会、公益社団法人日本整形外科学会. 公益財団法人運動器の 10 年・日本協会:平成28年度中学野球(軟式・硬式)実態調査報告書. 2018, 23-24
  2. Fleisig GS, Andrews JR, Cutter GR, Weber A, Loftice J, McMichael C, Hassell N, Lyman S. : Risk of serious injury for young baseball pitchers : a 10-year prospective study. Am J Sports Med, 39 (2) : 253-7, 2011.
  3. Burkhart SS, Morgan CD, Kibler WB. : The disabled throwing shoulder : spectrum of pathology Part I : pathoanatomy and biomechanics. Arthroscopy, 19 (4) : 404-20, 2003.
  4. 投球動作パターンでのセルフチェックについての項目:能瀬康史. “投球障害予防のセルフチェックとエクササイズ”. 新版野球の医学. 管谷啓之, 能瀬康史編集. 東京, 文光堂, 2017, 46-51

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